干支の話

●動心カレンダー

皆さんが干支というと、すぐに思い浮かぶのは動物。

元々、干支は由来があって暦の学問、暦学の、活用的一分野であり、経済的、歴史的、実証的な意義が深いものです。干支は周代に始まり、戦国時代から漢の時代にかけて整ったものです。

元々殷の時代、人々は狩猟民族でした。漢の時代になって、農耕生活をするようになって初めて、規則的な生産生活を営むために生れたものです。支配者、指導者、為政者、政府等が世の中の出来事推移をというものを60干支にわけて結論を出したものなのです。長い年月をかけて自然界と共存しながら体験と思索を元に会得した素晴らしい結論なのです。

しかしいつの間にか、そこに動物が当て嵌められ迷信臭い、非科学的なものといわれるようになってしまったのでした。

【干支】の【干】とは幹であり【根】のこと

【支】とは【枝】のことであり葉であり果実です。

【干支】で一本の草木、生命体になるのです。

つまり【干】根があって初めて【支】幹が生れるのです。

干・・・甲乙丙丁戊己庚申壬癸

支・・・ 子 丑 寅 卯 辰 巳 午 未 申 酉 戌 亥

孳 紐 演 茆 振 已 杵 昧 呻 ? 茂 ?{門・亥}

【下は元もとの文字です。すべて象形文字から生れました】

干は幹、支は枝で兄弟【えと】といわれます。

甲子・・・きのえのね

乙丑・・・きのとのうし

丙寅・・・ひのえのとら

丁卯・・・ひのとのう

これでお分かりかと思いますが元々、干と支は別物

干とは日を数えるもの

支とは月を計ったものでした。

干支は生命のエネルギーの生長、発展、収縮する変化の過程を分類、約説したものです。

【干】は潜在エネルギーの発展段階における内外の対応の状況を分類したものです。

【支】は生命細胞の分裂から次第に生体を組織、構成し、やがて老衰してそれが、一応ご破算になって又もとの細胞に・核に帰るということです。

子=「孳」(し:「ふえる」の意味)で、茲という字の下に子をつけた孳と同じで細胞が分裂発達する能動性を表す文字になります。干支が民衆化するに従って、いつの間にか生命力の旺盛な鼠が子。亥=猪にしても子=鼠にしても上手く選んだものです

丑=紐は、ちゅう ひも 、からむ はじめの意味。【漢書律暦志】には【子に孳萌(増え芽生える)し丑に紐芽(ちゅうが)す】と。つまり曲がる腕や、芽が曲がりつつ伸びるのを待つ様をいい、伸び悩んでいる形を言っています。古代人は農耕時代、鼠の次に目立ったのは牛であり牛に鋤をつけたり車をつけたりして農業をしている丑を牛としたのでしょう。

寅=「「?」(いん:「動く」演 )寅の字は、宀は建物、組織、存在。寅=同僚、つつしむ・たすけるという意味が。助け合って色々な妨害、公害を排除していきながら、人は始めて進歩します。それがさんずいをつけた【演】のびるです。演劇、演技などの演は進展を意味します。しかし物事が進んできたときに失敗をします。その恐るべきものを古代人は虎で表現したのでした。

卯= 茆 茅同じで陽氣の発動。『史記』律書によると「茂」(ぼう:しげるの意味)に通じます。または『漢書』律暦志によると「冒」(ぼう:おおうの意味)で、草木が地面を蔽うようになった状態を表しているとされる。もともと兔でなく、いばら、かやという文字。根がはびこって、こんがらかり、そのやぶから兎が飛び出してくる。ベトナムでは兎ではなく猫になっています。

辰=振『「振」(しん:「ふるう」「ととのう」の意味)で、草木の形が整った状態を表しているとされる。』理想に向かって辛抱強く抵抗や妨害と戦って歩みを進めていく様。辰の厂の次に書いてあるニは、上・天・神・理想を表す指事文字で、振・伸・震と相通じる意味を持っている。後に、想像上の動物である龍が割り当て嵌められました。

巳=動物の象形文字。「已」(い:「止む」の意味)今まで冬眠をしていた蛇が春になって地表に這い出す形。従来の因習的生活に、終わりを告げるという意味があります。動物の蛇が当て嵌められました。

午=忤(ご:「そむく」「さからう」の意味)午は古代文字で、かんむりは地表を表し下の十の一は陽気でⅠは陰気がしたから突き上げてくる様で、まさに地表に出ようとする象形文字。午の字の原形は午を馭する、くつわの索(つな)であるから馭(ぎょ)することを意味することから、午は馬になりました。

未=『漢書』律暦志によると「昧」(まい:「暗い」の意)【未】は一と木からなる文字。一は木の上層部、枝葉が茂っていることを表している。しかし枝葉がしげると暗くなるから未をくらいと読む。つまり【未】は暗くしてはいけない【不昧】出なければならないということです。動物の羊がなぜ当て嵌められたのかは不明。まったく関係ないそうですが、動心学的に解読するなら羊という動物の姿から読み取れます。群れをつくり優しげに寄り添いながら本質を隠した姿はまさに不昧です。

申=伸(しん、訓読みではさる)申の金石文字「殷・周時代」の形は電光の走る象形文字。神の初形とされています。電光が斜めに走る事から申は伸に通じ、伸びるという義に通じる。この電光の屈伸して走る事から人や物事の屈伸にも適用され慎重、伸舒というように用いられる。申が猿になりました。

酉=酒甕(酒カメ)を表し カメの中に溜まっている麹の発酵を表す象形文字。中に醸されている新しい勢力の爆発、蒸発の意。?({糸酉})」(しゅう:「ちぢむ」の意味)8月に黍(しょ、きび)が成熟してから醸造する事から成る、老いる,飽く等の意がある。果実が熟した状態。鶏をなぜ当て嵌めたかは、定かではありません。

戌=茂るは同義。「めつ、ほろぶという意味」戊(つちのえ)に一を加えたもので茂(も)と同義で、しげるの意。点の場合は戍(じゅ】でまもる。戌と戍は別もの。「戌」は草木が枯れる状態を表しているとされる。後に動物の犬が割り当てられました。

亥=語源的には豕(豚、猪)などの象形文字。「百物を収穫する」「物皆堅核と成る」の意。亥は陰極まって地中に微陽が起こってきている状況。亥には根ざす、兆す、萌すという意味が含まれる。亥は核であって植物が実となって核を形成しエネルギーを凝縮、蓄積している様。象形文字から動物の猪が当てはめられました。「亥」は「?({門・亥})」(がい:「とざす」の意味)

参考文献 『干支の活学』 安岡正篤